1912年、アラスカ半島のノバルプタ火山が大噴火し、現在カトマイ国立公園・自然保護区となっている一帯を火砕流で襲いました。荒野一帯は、煙が立ち上る谷、火山灰に覆われた山々、蒸気やガスを吐く小さな穴や裂け目などから成るダイナミックな景観へと変わりました。歴史上これを上回る火山灰と火山石を降らせた例は、紀元前1500年にギリシャのサントリニ島の噴火だけです。4年後にカトマイ峠に登った探検家、ロバート・グリッグが、谷間にあいた数千もの噴気孔から蒸気が噴き上がるのを目撃した最初の人間です。彼はこれを「1万本の煙の谷」と名付け、カトマイを国定天然記念物にしようという運動の中心となりました。1980年、この国定天然記念物の面積は168万ヘクタールにまで拡大され、国立公園・自然保護区に指定されました。
今日では噴気孔はもう煙も音も出しておらず、公園は2,000頭以上もいるブラウンベアたちの生息地として知られています。クマ観察のピークシーズン(7月)には大勢の観光客がブルックス川を訪れ、クマたちがサケを獲る光景をわずか30m弱の距離から観察しています。またカトマイには、アラグナク・ワイルドリバーやいくつかの大きい湖があります。中でもナクネク湖が一番大きく、5種類のパシフィック・サーモンをはじめ、ニジマス、北極イワナ、北極カワヒメマス、カワカマスなどが生息し、アングラーの間では有名です。またラフティング、「1万本の煙の谷」ハイキング、バックカントリーでのキャンプ、多くの湖や川が連なるサボノスキー・ループでのカヤックなど、釣り以外のアクティビティも豊富です。公園と町をつなぐ道路が1本も無いので、カトマイを訪れる際は周到な計画、余裕のある旅行費用、そして何日にも及ぶ滞在には事前の予約が必要です。クマ観察ツアー・パッケージは、日帰りツアーからあり、コディアック、ホーマー、アンカレジで手配することができます。
Facilities
施設
キングサーモンから56㎞、ナクネク・レイク岸辺に位置するブルックス・キャンプは、カトマイ国立公園と
その周辺地域におけるアクティビティの拠点となっており、ロッジ、レストラン、キャンプ場、店舗、レンタル・カヤック施設とブルックス・キャンプ・ビジター・センター(907-481-1781)などがあります。
キングサーモンから運航されている水上飛行機は、このブルックス・キャンプの岸辺で乗客を降ろします。散歩道を歩いて浮橋を渡ったところには、ブルックス川を見渡せるベア・ウォッチング施設があり、園内で最も人気のあるアトラクションとなっています。
ブルックス滝周辺に位置する最後の展望台は、園内で標高が最も高い所となっており、サーモンがジャンプする瞬間や体重400㎏もあるブラウンベアが滝の上で口を開けてサーモンを待ち受ける姿を写真に撮ることができます。多くのベニザケが遡上してくる7月は、滝の上でそれらを待ち受けるブラウンベアの姿を、時には10頭以上も見ることができます。
ブルックス・キャンプからは、カトマイに至る唯一の道路が延びています。この延長37㎞の未舗装道路は、野生動物の棲む草原や川の谷間を縫って曲がりくねり、終点のスリー・フォークス・オーバールックへと通じています。ここでは「1万本の煙の谷」が一望できます。園内の営業許可を持った業者が毎日スリー・フォークス・オーバールックを往復するバス・ツアーを運行しており、途中で停車して奥地に向かうハイカーやバックパッカーの送迎にあたっています。園内の随所、また外の沿岸部には、小型飛行機で着陸できるフライ・イン・ロッジが多数点在しており、様々なパッケージ・ツアーも実施しています。 スポーツ・フィッシングや湖や川を旅するためのボートも用意されている他、ベア・ウォッチング・ツアーも手配可能です。
Fees
入園料
カトマイ国立公園の入場は無料で、奥地に入るための許可証も不要です。ブルックス・キャンプのキャンプ場では、お一人様につき1泊毎の料金が必要となります。カトマイ国立公園を訪れる際には、キャンプ、デイ・ユースともに、ナショナル・レクリエーション・レザベーション・サービス(877-444-6777、518-885-3639;www.recreation.gov)を通じて事前の予約が必要となります。
Accessibility
アクセス
公園自体は1年を通してオープンしていますが、玄関口であるブルックス・キャンプの各種サービスは6月から9月半ばのシーズン中のみの営業となります。キングサーモンには、アンカレジから定期便で行くことができますが、48㎞離れたブルックス・キャンプには小型水上機でしか行けません。ベア・ウォッチングのツアーは日帰り、宿泊付きともに、コディアック、ホーマー、アンカレジで手配することができます。