キナイ半島西部に長く幅広い地域を占める面積80万㎢のキナイ国立野生動物保護区は、キナイ山脈の西側山腹、クック入江に沿った森林低地、河川、湿地帯、湖沼などを含んでいます。東をチュガッチ国立森林公園、南東をキナイ・フィヨルド国立公園、そして南をカチェマック湾州立公園と境界を接するこの野生動物保護区は、営利目的に行われていた狩猟からムースを保護するために 1941年にフランクリン・ルーズベルト大統領が保護区を設定した当時は、キナイ国立ムース・レンジと呼ばれていました。ムース・レンジは1980年に改称・拡大され、今日のキナイ国立野生動物保護区となりました。アラスカ州内でも最もアクセスし易い立地条件に恵まれた保護区であるため来訪者の数も最も多く、毎年50万人以上の観光客を集めています。
マウンテンゴート、ドールシープ、カリブー、クズリ(イタチ科)などの生息地となっている樹木の無い高山・亜高山ゾーンから、ムース、オオカミ、ブラックベア、ブラウンベア、オオヤマネコなどが住む低地の北方針葉樹林帯まで、キナイ国立野生動物保護区にはいくつもの異なる動物生息環境があります。森林地帯に穴をあけるように点在しているのが数多くの湖沼やキナイ川をはじめとする河川です。キナイ川はキングサーモンの漁場として世界的に有名で、サケ類の中でも世界最大の同種を支えています。スポーツ・フィッシングで釣り上げられたキングサーモンの世界記録は、1985年にキナイ川で獲れた44.1kgものです。
保護区内最大の湖、タスツメナ湖は29,600ヘクタールの広さです。しかしカヌーを楽しむパドラーの間で最も人気のあるのは、美しく起伏する自然景観の中を約120kmにわたって湖やウォータートレイルが続くキナイ国立野生動物保護区カヌー・トレイル・システムです。米国内に2ヶ所しかない野生のカヌー・ルートのうちの一つで、このルートはさらに2つに分かれています。人気が高い方のスワンレイク・ルートは全長96km、内包する湖は30あり、ムース川へとながっています。もう一方のスワンソンリバー・ルートは全長128km、40の湖とクック入江に注ぐ74kmのスワンソン川から成ります。
Facilities
施設
ソルドトナの近く、スキー・ヒル・ロード沿いにあるキナイ国立野生動物保護区ビジター・センターは、家族連れにもお勧めのセンターです。鮭の一生に関する展示物、野生動物に関する映画の上映の他、週末には動物学者の指導によるアウトドア・プログラムなども体験できます。センターからは短いループ状の遊歩道が2本でており、近くの森あるいはヘッドクォーターズ・レイクの動物観察用プラットフォームへと通じています。
保護区内には、スキラク・レイク・ループ・ロード、スワンソン・リバー・ロードに沿って、湖に隣接したハイキング・コースやフィッシング・エリアにも近い13の整備されたキャンプ場があります。また、ボートや水上飛行機で訪れることができる14戸のキャビンもあり、予約も可能です。道路から少し歩いたところにあるキャビンもあります。
保護区内には総延長320㎞のトレイルがあり、長さや難易度、景観も様々なで、小川沿いや森を抜ける道、樹木限界線よりも高い標高の山岳ルートまでバラエティに富んでいます。ほとんどのトレイルは一日ハイキングに適していますが、どこでもキャンプすることが可能です。 特に、スキラック・レイク・ループ・ロード沿いにあるスキラック野生レクリエーション・エリアは、キャンプ場が集中しています。
Fees
入園料
キナイ国立野生動物保護区への立ち入りは無料ですが、キャンプ場、公共キャビンの使用には1泊ごとに料金がかかります。キャビンの予約はキナイ国立野生動物保護区ビジター・センターで可能です。
Accessibility
アクセス
キナイ国立野生動物保護区は、スターリング・ハイウェイの88㎞地点で西向きに入ったところに位置しており、ハイウェイで保護区が二分された形になります。
その他、利用可能な道路としては、スキラック・レイク・ループ・ロード、スワンソン・リバー・ロード、スワン・レイク・ロード、ファニー・リバー・ロードがあります。保護区の北側境界線はアンカレジから32㎞の地点になります。車以外のアクセスとしては、川沿いのトレイルから徒歩で、または水上飛行機で保護区内の湖に降りる方法があります。