面積わずか45.2ヘクタールのシトカ国立歴史公園は、アラスカで最も小さい国立公園ですが、景観の美しさや興味をそそるような歴史が無いわけではありません。インディアン川の河口に位置し、シトカの中心部から歩いても行ける距離にあるこの公園は、クリンギット族が1804年、木造の砦に1週間たてこもってロシア人と戦った後ついに敗北した史跡を保存しています。ロシア人は、クリンギット族が2年前に近くのロシア人居留地を襲撃した事件の復讐を果たすために4隻の軍船でやってきたのでした。ロシアの大砲はクリンギットの砦の壁にさほどの損害を与えることができず、ロシア人兵士がアリュート族の助けを得て砦に押し寄せた際も、血みどろの戦闘の後に撃退されました。火薬と火打石が底をついたためクリンギット族が夜陰にまぎれて砦から逃れて、ロシア人は初めてもぬけの殻になった砦に入ることができたのでした。
この地区は1910年に国立記念物に、さらにシトカの戦いを記念するため1972年にシトカ国立歴史公園に指定されました。この戦跡を保存するにあたり、緑豊かな多雨林と、近くの島々をちりばめた海域へと続く岩の多い海岸線や、シトカをアラスカでも最も美しいシーサイド・タウンのひとつにしている周囲の山々も公園地域に編入されました。このような背景やクリンギットの民俗文化とロシアの歴史とのユニークな混交があいまって、このシトカ国立歴史公園をアラスカでも極めてめずらしい国立公園にしています。
Facilities
施設
シトカ国立歴史公園ビジター・センター(907-747-0110)では、かつての先住民とロシア人との戦闘に関するビデオが劇場で上映されている他、ロシア、先住民双方の当時の歴史を物語る数々の品が展示されています。 また、屋外では、トーテム・ポールを彫る木彫り職人の様子を見学することができます。近くにはトーテム・トレイルがあり、この1.6キロほどの小路の脇には1904年にセントルイスで開かれたルイジアナ博覧会で展示された後、新たに開園したこの歴史公園に移設され18基のトーテム・ポールが並んでいます。 さらにトレイルを進むと、インディアン川近くのクリンギット砦跡に辿り着きます。ここでは、今でも砦の輪郭を見ることができます。気ままにトレイルを歩いてみるのも良いですし、レンジャーのガイド付きで「戦闘の跡ウォーキング」を楽しむのも良いでしょう。
国立公園管理局(NPS)では、完璧に近い保存状態で残るシトカ最古のロシア建築物であるロシア司教の家の修復工事を行いました。シトカのエゾマツを使い、1843年に建てられたこの2階建てのログハウスは、北米に残る数少ないロシア・コロニアル様式の建築物の一つです。 学校、司教の住居、教会として使用されたこの建物のツアーは、5月半ばから9月末まで、毎日実施されています。
Fees
入園料
シトカ国立歴史公園ビジター・センター、ロシア司教の家へは入場料が必要となります。
Accessibility
アクセス
シトカは、アラスカ南東でフライパンの柄のようにカナダに入り込んでいるバラノフ島にあります。 シトカの町に行くには、空路か海路のみとなります。 シアトル、ジュノー、アンカレジからは航空便も運航されている他、アラスカ・マリンハイウェイの他、多くのクルーズ船の寄港地ともなっています。