見た目ではセイウチは同じ鰭脚亜目の仲間であるアザラシやアシカに似ていますが、2つの点でこれらとは異なっています。それは大きさがはるかに大きいこと、そして成獣はオス、メスともに巨大なキバを持っていることです。事実、「歯で動くもの」を意味するセイウチの分類学上の名前「Odobenus」は、彼らがキバをいかに有効に使っているかを雄弁に物語っています。キバは氷の上や陸上を登って動く際に使われるだけでなく、戦いの便利な武器になり、また子供を救うために浮氷をたたき切る道具にもなります(実際にそうして子供を救った母親の目撃例があります)。一番大きなキバを持ったものが群れを支配しますが、仲間に対する忠誠心が強烈なため、怪我をした仲間を決して見捨てたりはしません。オスの成獣は体重1,800kgにもなることがあります。これは鰭脚亜目の仲間の中ではずば抜けた大きさです。 彼らは通常、人に危害を及ぼすことはありませんが、体が巨大であること、好奇心が強いことなどから、彼らの近くにいる時は十分な注意が必要です。アラスカのネイティブは食料源としてあるいは皮や内臓をさまざまに利用するため、昔からセイウチを重宝してきました。実際、ネイティブはセイウチの内臓で雨具を作り、皮でカヤックを覆ってきました。
セイウチ
の
ウォッチング・ポイント:
セイウチには太平洋セイウチと大西洋セイウチの2種類がいます。太平洋セイウチは数がはるかに多く、ベーリング海やチュクチ海、アラスカ南西部のブリストル湾から極北のバローにかけて見ることができます。
ウォッチング・シーズン:
一年のうちでセイウチを見ることのできる一番早い時期は夏です。